グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 2階の客間のベッドに、ジックニーを寝かせると、ランフルクはジックニーの寝顔を見つめて嬉しそうに微笑んだ。



 まだ小さかったマロンディスを思い出しているランフルク。


 ジックニーと同じくらいの年の頃のマロンディスは、ランフルクの背中におんぶされることが大好きだった。

 高い位置から見える景色が嬉しいのだろうと、思っていた。


 でも本当は。

 マロンディスは、ランフルクの背中の龍が好きで、おんぶしてもらっていたのだ。

 
 可愛いジックニーの寝顔を見ていると、嬉しくて、ランフルクは傍で見ていた。





 夕方になり。

 マロンディスは、別荘へとやって来た。

 シルビアはパティーナに着き添って、病院へ泊る事になった。


 事情をマロンディスから聞くと、ランフルクは真っ青になり驚いた。


「じゃあ、ここも用心しないといけないな」

「うん。病院には兵士も見張りについてくれているよ」

「そっか。あ! マロンディスにお客様が来ているんだよ。ちょっと、待ってて」


 ランフルクは2階へ上がって行った。


 お客様って誰だろう? 

 マロンディスが不思議そうに待っていると・・・。



 2階から、ジックニーを抱っこして、ランフルクが降りてきた。


「あ・・・」

 ランフルクに抱っこされているジックニーを見ると、マロンディスは何故か目が潤んできた。


 ジックニーはまだ少し眠そうな目をしている。


「ごめんね、長旅で疲れて眠っていたんだ」

 まだ半分眠そうな目をしているジックニを見ると、マロンディスは胸が熱くなってきた。

 潤んだ目でジックニーの傍に歩み寄ると、マロンディスは両手を伸ばした。


「おいで・・・」

 両手を広げてくれたマロンディスを見ると、ジックニーは驚いた目をした。

「こっちにおいで。・・・俺が、お父さんだよ」

 お父さん・・・。

 その言葉でジックニーは嬉しさが込みあがった。

 素直にマロンディスに手を伸ばした。


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