グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 何か考え込んでいるマロンディスの手を取り、ジュリアルはそっと目を閉じた。

「・・・貴方の中にね、ずっと見えている物があるの」

 ゆっくりと目を開いて、ジュリアルはマロンディスを見つめた。

「赤い瞳の少女。綺麗なブロンドの髪で、とても白い肌をしていて。貴方をそっと見守っているの。・・・思い出さない? 」


「赤い瞳・・・。パティーナと同じ瞳・・・」

「そうよ。肌の色も、パティーナと同じなの」

 
 ぼんやりと、マロンディスの脳裏にも、赤い瞳の少女が見えた。

 まるで女神のように微笑んでくれる少女は、瞳がとても悲しそうで・・・。

 マロンディスの胸がキュンとなった。


「・・・時々、夢に出てきた。・・・ずっと俺に「ごめんね」って言っていた。・・・だからずっと・・・ここが痛くて・・・」

 ぎゅっと胸を押さえるマロンディスが、とても辛そうで、ジュリアルはそっと抱きしめた。


「やっぱりそうだったのね。貴方が体調が優れないのは、その子の事が、気になっているからじゃないの? 」

「・・・気になると言うより・・・。見ていると、苦しくなるから・・・」


 そう語るマロンディスは、とても真っ青な顔をしている。


「お父さんが言っていたの。マロンディスの目が虚ろだから、魂が他を見ているって。だから、本当にディアンナと結婚させていいのか、とっても心配していたわ。お母さんも、3年前に亡くなるまでずっと、貴方を心配していた。本当に好きな人は別にいるって言っていたの」

「好きな人が・・・別にいる? ・・・」


 そう言われて思い出そうとするマロンディスだが、頭に強い痛みが走り、思い出せない・・・。


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