グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 地上に来ることも、ミネバには黙って出てきてしまったジックニー。

 
「ジックニー」

 マロンディスはそっと、ジックニーの頭を撫でた。

「お前、よく頑張ったよな。ちゃんと、お母さんの事守ってくれたんだな。有難う」

 マロンディスの優しい声に、ジックニーは目が潤んだ。

「でもな、おばあ様に黙って出てくるのはあんまり良くない。ちゃんと連絡できる方法があるなら、居場所は知らせておくんだよ」

「・・・わかった・・・」

 素直に返事をするジックニー。


 コンコン。

「失礼します」

 ケインがやって来た。

「お話ししているところごめんなさい。皇子様、国王様からお電話がありました」

 そう言って、ケインはメモを見せた。

 メモを受け取ると、マロンディスは内容を読むと真っ青になった。

「どうしたの? お父さん」

 パティーナが心配して尋ねた。

「国王様のお父さんが、誰かに刺されたらしい。別の病院だが、今しがた運ばれて重傷だって・・・」

「それは大変ですね。すぐに行ってあげて下さい」

 シルビアが言うと、マロンディスは小さく頷いた。

 
 パティーナとジックニーは、目と目を合わせて頷いた。

「お父さん、僕も一緒に行くよ」

「いや、お前はここにいればいい。せっかく、パティーナに会えたんじゃないか」

「ううん。僕も行くよ、絶対役に立つから」

 ジックニーに、ぎゅっと手を握られ、マロンディスはなんだか胸が熱くなった。
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