グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「はい、私が診察の為、お部屋へ伺ったところ。血まみれになっていらっしゃる、ジャディスさんを発見しました。窓が開いていたので、そこから侵入したものと思われますが。部屋中に、甘い香水の匂いが漂っていたのが印象で敵です」

 甘い香水・・・

 それは確か、パティーナの時も同じ匂いが部屋に漂っていた・・・

(国王様。初めまして、ディアンナと申します)

 6年前、突然マロンディスと一緒に南グリーンピアトから来たディアンナ。

 派手な赤いワンピースに、宝石などを沢山身に着けて、ただケバケバしい女だとしか印象がなかった。

 そしてキツイ香水の匂い・・・

 気分が悪くなるほど甘かった・・・。


「まさか・・・」

 ティミスはディアンナがつけていた香水の匂いを思い出した。


 北の塔から逃げ出したディアンナの行くへは、まだ一向に分からないままだった。

 
「国王様、どうかなさいましたか? お顔の色が優れませんが」

「いや。・・・香水の匂いに、覚えがあるような気がして」

「そうなんですか? 」

「ああ・・・」

「病院は、警備を厳重に致しますので、どうぞご安心下さい」

「判りました」




 しばらくして。

 ティミスはロビーに座って、一息ついていた。

 顔色が悪く、ショックを隠し切れないティミスの横顔は、とても辛そうである。


「兄さん」


 マロンディスとジックニーがやって来た。
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