グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「ごめん姉さん。・・・頭が痛くて思い出せないんだ。・・・」

「判ったわ。焦らなくていいから、ゆっくりと、昔みたいに魂に聞いてほしいの。貴方の本当の気持ちを」

「魂に? 」

「そう。頭じゃない心よ。もうね、これ以上貴方に苦しんでほしくない。それに、パティーナだってずっと怯えているのよ。このままじゃいけないでしょう? 」

 魂で感じる・・・

 それはずっと、父ランフルクが言っていた事だ。


(ごめんね、記憶消さなくちゃいけないの・・・。ありがとうございます。私を・・・愛してくれて・・・)

 とても切なくて、優しい声がマロンディスの頭の中に聞こえてきた。


「謝っている・・・あの少女が・・・。でもどうして謝っているのか、わからないんだ」

「判った。じゃあ、ゆっくり思い出してゆこう。私も手伝うから」

「姉さん。・・・俺は・・・なんでここにいるの? 」

 虚ろだったマロンディスの目が、少しだけしっかりしているのをジュリアルは見た。

「俺の中では・・・ずっと止まっている。・・・6年前のあの怪我した時から」


 ガシャーン。

 大きな物音がして、マロンディスとジュリアルは驚いた。


「どうしたのかしら? 」

 者とに驚き、ジュリアルとマロンディスは部屋から出てきた。





 少し離れた階段付近で、大きな柱時計がバラバラに壊れて割れている。

 その近くで、腕から血を流して泣いているパティーナが居る。

「全くなんなの? どうしてこんなところで遊んでいるの? 」

 呆れた声を上げたのは、パティーナの母親であるディアンナ。

 派手な赤いワンピースに、お揃いの赤いハイヒールを履いて、丸顔で派手なメイクに真っ赤な口紅。

 金色のネックレスに指にはダイヤの指輪に、ルビーの指輪、エメラルドの指輪と、沢山の宝石を身に着けている。

 ふっくらとしている小柄な女性である。




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