グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 
 抱きしめているジックニーから、マロンディスに伝わってくる思い。

 寂しかった・・・

 辛かった・・・

 会いたかった・・・

 ずっとジックニーが我慢していた思いが、素直に伝わって来た。

 本当はとっても素直なジックニー。

 でも、どうしても大人を見ると人見知りしていしまうのだろう。

「ジックニー・・・愛しているよ。お前も、パティーナもとっても大切な、お父さんの子供だ。選んでくれて本当に有難う」

 
 涙を拭いて、ジックニーはマロンディスを見た。

「・・・お父さん。・・・パティーナを、これからも愛してあげてね」

 そう言って満面の笑みを浮かべたジックニー。

 その笑顔はどこか寂しくて、悲しげだった。

「僕、お母さんとパティーナの所に戻るから。お父さんは、国王様のお父さんの所にいてあげて」

「判った」

  
 去ってゆくジックニーの後姿が、どこか違うような気がしたマロンディス。

 
「マロンディス」

 ティミスが戻ってきた。

「あ、兄さん。検察には連絡した? 」

「ああ、港に警備を敷くと言われたよ」

 ふと、マロンディスはもう一度振り向いてみた。

 しかし既に、ジックニーの姿はなかった。


「あの子はどうしたんだ? 」

「シルビアとパティーナの所に戻ると言って、帰ったよ」

「一人で行ったのか? 」

「ああ、俺にはジャディスさんに着いていてと言って」

 ん? 

 ティミスは何か違和感を感じた。
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