グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 驚いてジックニーが振り向くと、そこにはパティーナがいた。

「パティーナ、なんでここに? 」

「お兄ちゃんズルしちゃダメ! 黙って1人で何するの? 」

 ジックニーはギュッと唇を噛んで、パティーナの手を振り払った。

「パティーナ。お前は、お父さんとお母さんと幸せになってよ」

「何言っているの? 決めて来たシナリオ、変えるつもりなの? 」

「・・・僕は・・・。パティーナが幸せになってほしいから・・・」

「お兄ちゃん。私は、とっても幸せだよ。お兄ちゃんと離れていたけど、ずっと、お兄ちゃんの事感じていたもん。だから、ディアンナに酷い事されたって我慢できたの。お父さんが、ずっと無表情でも、お父さんの事守ろうって思ったの。お兄ちゃん、お母さんとそっくりなんだね」

 ジックニーは俯いてしまい、何も答えない。

「お母さんも、ずっと自分を責めていたって話してくれたよ。私が誘拐されて、6年も見つけられなくて辛かったって言ってた。お兄ちゃんも、お母さんと同じで、すぐに自分の事を責めちゃうでしょう? 傷つきたくないから、自分からシャッター閉めちゃうんだよね。だから、大人を見ると素直になれないんじゃない? 」


 ゲッ・・・すごく見抜かれている・・・

 ジックニー図星を指されて、何も言い返せなかった。


「一緒に行こう、お兄ちゃん」

 ギュッと、ジックニーの手を握って、パティーナは笑いかけた。

「パティーナ・・・。僕は、お前と離れたくない。せっかく会えたのに、なんでだよ! 」

「お兄ちゃん。これは、私が決めて来た事なんだよ」

「パティーナ・・・」

「もう、お兄ちゃんったら。本当はとっても優しいんだよね。でも、人生のシナリオは変えちゃダメ」

 そう言って、パティーナはジックニーの手を引っ張って歩き出した。

「行くよ! 早くディアンナ止めないと、大変だよ」

 パティーナに手を引かれながら、ジックニーは一緒に着いて行った。
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