グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「・・・ようやく手に入れたのよ。・・・あんな女に取られて、たまるもんですか! 」

 差し込んでくる光を見上げて、ニヤリと笑うディアンナ。 

 バタバタ・・・

「ん? 」

 バタバタと足音が近づいてきて、ディアンナは振り向いた。



「あ! いた! 」

 パティーナがディアンナを見つけた。

 ん? と目を座らせ、パティーナを見るディアンナ。

 そして、パティーナと一緒にいるジックニーを見て目を見開いた。

「あんた・・・まさか・・・マロンディスの子供? 」

 ジックニーはディアンナを睨みつけた。


「ディアンナさん。国王様のお父さんを刺したのは、貴女でしょう? 」

 パティーナがディアンナに向かって言った。

「くだらない事言うんじゃないわよ! 邪魔な人間は全員消すの。国王を先に殺してもいいけど、面白くないからねぇ」

「酷い人。邪魔なんて、何もしてないじゃない。貴女が勝手に1人で、みんなを恨んでいるだけじゃないの! 」


 コツン・・・コツン・・

 ディアンナはパティーナに歩み寄ってきた。

「何となくだけど、あんたは嫌いだったわ。本当はね、そっちの坊やを誘拐したかったの」

 パティーナとジックニーの前で立ち止まり、ディアンナは見下し目で2人見た。


「あの・・・6年前。・・・2人の赤ちゃんがいたわ・・・」


 6年前。

 国立病院。

 生まれたての双子の赤ちゃんが、乳児室に眠っている。

 スヤスヤと天使の寝顔で眠っている双子。

 その双子に、黒い影が忍び寄ってきた。
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