グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 双子の前に現れたのは、真っ赤なロングワンピースに身を包んで、頭らか黒いショールをかぶって顔を隠しているディアンナ。


 双子の前に来ると、ディアンナは双子の男の子ジックニーに手を伸ばした。

 だが・・・

 コツン・・・コツン・・・

 足音が近づいてきて、焦って振り向いたディアンナは、男の子ではなく女の子のパティーナを抱き上げて、そのまま連れて行ってしまった。


 物陰に身を潜めて隠れいているディアンナ。

 巡回の看護師が過ぎ去ったあと、ディアンナはこっそり出てきて、そのまま逃げ去った。



「あのとき、私は坊やを誘拐するつもりだった。マロンディスにそっくりだったもの。寝ている顔なんて、瓜二つだった。でも足音で驚いて、間違えてアンタを連れてきてしまった! 」


 スッとディアンナはパティーナに、銃口を向けた。

「あんた達を狙ったのは、直感だったわ。何となく、この子達がいいって、思っただけ。血液検査で、あんたがマロンディスと実の親子だって知ったとき。正直驚いたけど、これは使えるって思ったわ。アンタが実の子供だと分かれば、少なくともアンタを手放すことはしないって思ったから」

 引き金に手をかけ、ディアンナはニヤリと笑った。

「でもね、だんだんと大きくなってゆくアンタは。別の女と似てきたわ。だから憎くて仕方なかった。・・・だから・・・アンタを痛めつけたくなったの。あの柱時計で、あんたは死んでくれるって思ったのに、しぶとかったわね。でも、もうおしまい。アンタは今ここで、死ぬのよ! 」


 ズキューン!!

 パキン!

 ディアンナが銃を撃った瞬間、パキン! と何かが跳ね返された。
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