グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「お兄ちゃん・・・」

 ジックニーの袖を引っ張ったパティーナが、ゆっくりとその場に崩れた。

「パティーナ・・・」

 膝をついて、ジックニーはパティーナと視線を合わせた。


「ジックニー、パティーナ! 大丈夫か? 」


 マロンディスとシルビアは、2人に駆け寄った。


 ぐったりしているパティーナを、マロンディスが抱きかかえた。

「お父さん・・・お母さん・・・」

 だんだんとパティーナの唇が真っ青になって行くを見て、シルビアは血の気の引いた顔になった。

「パティーナ? だめよ、逝っては! 」

 シルビアが声をかけるとパティーナはうっすらと笑った。


「お母さん・・・。会えて嬉しかった・・・私の事、産んでくれて・・・有難う・・・」

「何言っているの? ダメ! 」

 パティーナはゆっくりと首を振った。

「ごめんね、お父さん、お母さん。・・・ずっと・・・治癒魔法で怪我、治していたから・・・もう・・・限界だったんだよ・・・」

 冷たくなった手で、パティーナはジックニーの手を握った。

「お兄ちゃん。約束守れたね・・・」

「うん・・・」

 泣きたいのをぐっとこらえて、ジックニーはパティーナを見ている。

「じゃあ、ちょっとだけサヨナラだよ」

「うん・・・」

「・・・また会おうね、お兄ちゃん・・・。お父さん・・・お母さん・・・有難う・・・」

 そっと微笑んで、パティーナはぐったりとなった。

 そして、暖かな光がパティーナの中から出てきて、そのままシルビアの身体の中に入って行った・・・・。

「パティーナ・・・」

 声を殺して泣き出したジックニーを、マロンディスはそっと抱きしめた。

 シルビアは茫然となり、動かなくなったパティーナを見ていた。



「いたぞ! 」

 複数の検察官がやってきてディアンナを捉えた。

 虚ろな目をしているディアンナ。

「・・・もう嫌・・・貧乏は・・・・もう嫌・・・」

 うわ言のように、ディアンナは呟いている。

 検察官はそのまま、ディアンナを連れて行った。
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