グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
第7章 地底からの訪問者

 それから1週間後。

 別荘にいるランフルクの元に、1人の女性が訪ねてきた。


 シックな黒いロングワンピースに身を包んで、首元に白いショール、上品なダイヤのピアスに綺麗なパープルのチョーカー。

 靴は黒いパンプスを履いている。


「突然お伺い致しまして、申し訳ございません。私、シルビアの母ミネバでございます」

 丁寧に頭を下げる女性は、シルビアの母ミネバだった。

 シルビアと似ている顔立ちで、少し厳しそうな目をしているが、微笑ましい口元で優しく見える。


 ランフルクはミネバを見ると、美しさに目を見開いた。


「シルビアさんの母君でいらっしゃいますか。僕は、マロンディスの父ランフルクです」

「皇子様のお父様・・・で、ございますか? 」

「ええ。父です」

 
 ミネバは少し違和感を感じた。

そんなミネバを見て、ランフルクはクスっと笑った。

「もしかして、気づきましたか? 」

「え? 」

「今、貴女の魂が「違うでしょう? 」って言ってきましたから」

 魂の声が聞こえる?

 地上にも、そんな人が居るなんて・・・。

 ミネバは驚いてキョンとした目をしていた。

「立ち話もなんですから、中へどうぞ」

 優しく手招きをされ、ミネバは釣られるように中へと入って行った。



「どうぞ、こちらにおかけ下さい」

 優雅なランフルクのエスコートで、ミネバはリビングのソファーに座った。

「少しお待ち下さいね、お茶をお持ちいたしますので」

「いえ、どうぞお構いなく」

「遠慮なさらないで下さい。とっても美味しいケーキがありますから、一緒に食べましょう」

 いつもの爽やかな笑顔で、ランフルクはそのままきキッチンに向かった。
< 73 / 101 >

この作品をシェア

pagetop