グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 一人残されたミネバは、リビングを見渡した。

 壁に飾られている写真を見て、ふと、ランフルクとアドーヌが写っている写真に目を止めた。

 その写真は、ランフルクとアドーヌが結婚した時の写真だった。

 結婚式の時、既にアドーヌのお腹にはマロンディスが居た。
 
 5ヶ月になっていたが、ドレスはお腹が目立たないふんわりしたドレスで、とても可愛らしい。

 ショートヘヤーがとっても似合うアドーヌは、魅力的で誰もがうっとりしてしまうくらいだった。


 なんとなく、ミネバはランフルクとアドーヌの写真を見て、胸がチクリとした。

 
「お待たせしました」

 ランフルクが紅茶とケーキを持って戻ってきた。


 テーブルの上に置かれた、ティーカップに入った紅茶と、お皿の上に置かれたケーキ。

 白い生クリームがたっぷりの、美味しそうなイチゴのショートケーキ。

 ミネバは初めて見るショートケーキに、とても嬉しそうな目をした。


「お隣に、座ってもいいですか? 」

「は、はい・・・」

 少し照れたように、ミネバが返事をすると、ランフルクは1人分開けて隣に座った。

「どうぞ召し上がって下さい。コック長が自慢のケーキなんですよ」

「はい・・・頂きます・・・」


 フォークを使って、とても上品にケーキを食べるミネバを、ランフルクはそっと見つめた。

「とても美味しいですね。こんなに美味しい物は、初めて食べました」

 そう答えるミネバは、来た時よりも優しい目をしている。

 その目を見ると、ランフルクも嬉しくなった。
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