グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「お口にあって良かったです」

 紅茶を一口飲み、ランフルクはまたミネバを見つめた。


「あの・・・。シルビアさんを、連れ戻しに来られたのですか? 」

「いえ・・・そうゆうわけではありませんが。・・・シルビアだけではなく、シルビアの子供まで飛び出して行ってしまったので・・・」

 
 ふと、ミネバの表情が曇った。


「そうでしたか。心配されたのですね? まだ、小さな子供ですから。途中で、何かあったのではないかと、思われたのですね? 」

「はい・・・。本当なら、私はここに来るべきではありませんが。・・・」

「大丈夫ですよ、みんな元気ですから。シルビアさんは、とても素敵な人ですね。マロンディスが好きになる気持ちもわかります。それに、ジックニーも、とっても素直な子でビックリしましたよ」


 え? 素直? 

 少し意外そうな目をするミネバを見て、ランフルクはクスっと笑った。

「すみません、笑ったりして。ジックニーが、本当は素直じゃない事は、僕は見抜いていましたから」

「え? 」

「僕は、相手の魂の声が聞けますから。ジックニーの魂から「大人は嫌い」って声が聞こえていたんです。僕やマロンディスには、とっても素直で笑顔を向けてくれましたが。時折り不意に、寂しそうな目をしているのを、僕は見ていました。あんなに小さな子ですから、素直になれなくても仕方ない事だと思いますよ」

「・・・私が、厳しすぎましたので。そのせいで、ジックニーは大人が嫌いになってしまったのだと思います」
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