グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「そんなことがあったのですね。でも、ジックニーが連れてきた羽の生えた恐竜は、とても大人しく優しい恐竜でしたよ」

「本来、恐竜は人々を助けて暮らしていたのです。時に食料になっても、みんな仲良く分け合って食べていたそうです」

「なるほど。・・・それじゃあ、マロンディスとシルビアさんが出会ったのは、もしかして地上と地底を繋げるためだったのではありませんか? 」

「いえ・・・」

 ふと辛そうな目をして、ミネバはぎゅと唇を噛んだ。

「実は私の夫は、地上の人だったのです」

「え? 本当ですか? 」

「はい・・・。私が地上に来た時に出会って、そのまま好きなってしまいました。でも・・・病弱だった夫は、シルビアが産まれて3年後に亡くなりました・・・」



 ミネバは話してくれた。

 地上の男性コンシャヌと出会った事。

 偶然、地上に遊びに来たミネバが海にいると不意に現れた男性コンシャヌ。

 グリーンピアトの国立病院の医師で、たまたま南グリーンピアトに遊びに来ていたコンシャヌ。

 出会った瞬間、運命の人のようで、恋に落ちてしまった2人。


 医者でありながら、コンシャヌは重度の心臓病を抱えていた。

 余命も残り少なかったが、命がある限りミネバと一緒にいたいと言って、地底に来てくれることになった。

 地底には腕の良い医師がいなかったため、コンシャヌが来てくれたことはとても有難く大喜びされていた。

 シルビアが3歳の誕生日を迎えた日、高熱を出したコンシャヌは数日間病と闘い亡くなった。

 それから母ミネバは、1人で地底を守ってきた。

 それ故に、強くなければと虚勢を張り、冷たく感じる女性になってしまっていた・・・。


「私はきっと、愛する人を亡くした悲しみを認めなくなかったのだと思います。1人で地底を守る事で、悲しみを忘れようとしていたと思います・・・」

 そっと、顔を背けてミネバは言った。
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