グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

 泣きそうで・・・でも・・・・泣いてはいけない。

 そう思ったミネバ。

「ミネバさん」

 ランフルクの優しい声が、ミネバの耳元で聞こえてドキッとした。

「今、貴女の魂はとても喜んでいますよ。やっと、本音を言ってくれたって。ずっと言えなかったんですよね? 弱音を吐いてはいけないって、決めていたから。でも、もういいじゃないですか。貴女も1人の人間です。弱音を吐いても、構わないじゃないですか」

 そんなに優しくしないで・・・

 心の中で、ミネバは呟いた。

 ギュッと唇を噛んだ時、ミネバをふわりと優しい温もりが包んでくれた。


 気づいたら・・・

 ランフルクに抱きしめられていたミネバ。

「あ・・・あの・・・」

 突き放さくてはいけない。

 そう思うミネバだったが、ギュッと強く抱きしめられていて、離れる事が出来なかった。


「伝わってきます。貴女がずっと、悲しみと闘ってきた思い。そして、本当はとっても優しい人なんだって。・・・シルビアさんが子供を産んだことは、貴女にとって喜びだったんですね? ・・・でも・・・自分と同じ思いをさせてしまうのではないかと、不安を感じたのですね? ・・・それ故に、ジックニーには厳しくなってしまった・・・。それも、貴女の愛だっただけじゃないですか。もう、自分を責めないで下さい」

 そっと、ランフルクが背中をさすってくれると、ミネバは心がとても軽くなってゆくのを感じた。

 ミネバの背中は、見かけよりとても華奢で。

 こんな華奢な人が、1人で地底を守っていたと思うと、ランフルクは胸が痛くなった。


 そっと、身体を離すと、ランフルクはミネバを見つめた。


 ミネバは俯いたまま、何も言わない・・・。

「これからも、1人で地底を守ってゆくおつもりなんですか? 」

「・・・はい・・・」

 答えるミネバの声が、小さく震えていた。
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