グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~

「僕の最初の妻は、亡くなった妻とは双子の姉妹でした。同じ魔族の血を引いていて、魔力の使いすぎて寿命が尽きてしまい。ある日倒れてしまって、そのまま魂は肉体から離れてしまいました。その1年後に、妹と結婚したんです。娘達が、大変気に入ってたのでね」

 微笑んで話すランフルクの表情が、少しだけ辛そうに揺れたのを、ミネバは見逃さなかった。

「結局2人共。僕より先に逝ってしまいました。・・・僕の愛する人は、先に死んでしまうのかな? って、ちょっとだけ自分を責めていましたよ」

「そんな事はありません。我慢しているのは、貴方の方じゃないですか? 」

 ん? と、ランフルクはミネバを見た。

「すみません。・・・皇子様と貴方が、どうしても親子には思えなくて。・・・確かに繋がりはあるのですが、親子の繋がりではないと・・・」


 見抜かれてしまったか・・・。

 ランフルクは少し痛い笑みを浮かべた。

「さすがですね、判っちゃいましたか? 」

「すみません。エネルギーが違ったのです」

「その通りですよ。僕は、マロンディスとは親子ではなく兄弟です。マロンディスの実の父は僕の父なんです。でも、それでも僕は妻を愛していましたから。マロンディスの事は、実の子供として愛してきました。マロンディス自身も、そうしたいと決めて来たことですから」

 
 なんとなく見えてきた家系図に、ミネバは驚く反面納得できた。

 魂の声が聞ける・・・

 死者の声が聞ける・・・

 そんな不思議な力をもって産まれてきた人だ、きっと、産まれてくる前に決めて来た事を分かっているのかもしれない。

 だから、人一倍、愛する気持ちは強いのだろう。


「ミネバさん。僕を、地底に連れて行ってくれますか? 」

 とても真剣な目で見つめられ、ミネバは少し迷ってしまった。

「・・・ダメだと言っても、着いて行きますけどね」

 え? 

 驚いた目をするミネバに、ランフルクはちょっと悪戯っぽく笑った。
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