グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
 ジックニーは思わず笑ってしまった。

「あ? なんだよ。笑うところじゃねぇだろう? 」

「あ、すみません。・・・皇子様が、お母さんの事を、母ちゃんって言うのでつい・・・」

「ん? 母ちゃんが、なんか悪いか? 」

「いいえ。ちょっと、意外だっただけです」

 そう答えるジックニーは、さっきより少しだけ明るい表情になっていた。


「まっ、いいか。少しは、元気出たようだな? 」

「はい、有難うございます」

「ところで、お前いくつなんだ? 」

「僕は6歳です」

「6歳? すげぇしっかりしてんだな? 」

「はい。ずっと、お母さんの事を守ってきましたから」

「そっか。ところで、お前のお母さんはどこにいるんだ? 」

「お城の中にいます。お父さんと一緒に」

 ん? と、アディールは城を見た。

「・・・そっか、やっぱりお前は兄貴の子供なんだ」

「兄貴? 」

「そっ、俺の兄貴。本当の兄弟じゃねぇけど、ずっと小さい頃から「兄貴」って呼んでたんだ。本当は伯父さんになる人だけどなっ」

 
 そうゆう事か。

 ジックニーはようやく納得ができた。

「そっかぁ。兄貴にもう一人、子供がいたのか。嬉しいなぁ」


 ギュッと、アディールはジックニーを抱きしめた。

 突然抱きしめられ、ジックニーは驚いた。


「俺は兄弟がいないからさっ、パティーナが居た時はずげぇ嬉しくてさぁ。・・・俺も、パティーナが居なくなって、マジで凹んでたんだ。でも、お前見たらすげぇ嬉しい」

 抱きしめられた感覚は、どこかランフルクとにているアディール。

 同じ親戚どうしだからなのか? それとも同じ血筋だからだろうか? 


「さっ。こんな所にいないで中に行こうぜ。もう、だいぶん吹っ切れたろ? 」

「うん・・・」


 アディールはジックニーの手をギュッと握って、歩き出した。

 まるでお兄ちゃんに連れられた、弟のようなジックニーの姿はとても可愛らしい。

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