幸福論
久しぶりの平日の休み。
ここ最近の休日は志乃と過ごすことが多かったから、
何をして過ごそうかと頭を悩ませる。


お天気もいいことだし、
自然と浮かぶのは釣り。


そうと決まればいつものように
弟の釣り道具を引っ張り出す。


いつものように車を走らせれば
見えてくるのは広い湖。


広い湖に広がる青空。
久しぶりに感じるこの景色は変わらず綺麗だった。


最近では私の定位置となりつつある場所に
腰を下ろし、糸を垂らせば
自然と瞼が閉じてゆく。


気持ちのいい風に揺られていると
かすかに嗅ぎ慣れた懐かしい香りが
鼻をかすめた。


同時に聞こえた懐かしい声。






「隣、ええ?」





そっと目を開けると
懐かしい笑顔が私の顔を覗き込んでいた。
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