幸福論
「.......え、ちゃう....?ちゃうか、
いや、ちゃうくないやんな....」

「.............びっくりした......」

「いや俺もびっっっくりやで!?
何してるん!こんな時間に!」





あまりにも驚いたのか
紺さんは膝に手をついて地面を見ている。






「や、ちょっと来たくなって....」






暗い空間で頼りになるのは
月の光だけで。


顔を上げた彼の顔は
暗闇でも分かるほどの笑顔だった。


帰ろうとして上げた腰を
また紺さんと一緒に下ろす。





「たまたま仕事で近く来てさ。
たまたま来てみたら、
ほんまにたまたままこちゃんがおった。」





そう言って彼は笑う。


たまたまにたまたまが重なったんだ。
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