幸福論
それから話していたものの
徐々にお互いの口数は減っていった。


ただただ静かな時間を過ごす。
時間の経過は分からないけど、
ただゆったりとした時が過ぎていた。


冷たい風と心地いい香りに目を閉じた時、
クシュン!と紺さんがクシャミをした。
それを合図かのように静かな時間は終わりを告げる、





「.......そろそろ帰らなきゃ」

「......そやな、帰ろか。」





ゆっくりと腰を上げ、見上げた月は
来た時よりも随分違う場所にいる。


車までの道を
歩きながら紺さんは口を開いた。





「明日の夜、会えへん?」
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