幸福論
「まこ、今日までよく頑張ったね。」




そう言って渡されたのはゴールドのバッジ。


独り立ちするときに先輩から後輩へ
引き渡されるものだった。


笹上さんも先輩から受け継いだであろうこのバッジは、
何人もの人たちに渡ってきたのだろう。
所々金の部分がくすんでしまっている。


このバッジを付けるという事は
一人前だと認められたという事。


もうすぐ始まるというのに涙が溢れ出した。


2人の期待に応えられたかは分からない。
でも、自分なりに、真っ直ぐに頑張ってきた。


それが認められたようで、
もの凄く嬉しかったんだ。


笹上さんと佐伯さんは笑って
背中をさすってくれたけど、
その目は少し潤んでいるように見えた。
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