幸福論
上着を着てないから
思わずくしゃみをしてしまった。


明日大事な仕事がある彼女は帰らなあかん。
俺のくしゃみを合図かのように立ち上がった。


黙って並んで車向かう時に気付くのは
いつもより彼女の背が少しだけ高いってこと。


足元を見たらヒールのある靴履いてるし。
負担にならんようにゆっくり歩いた。
もうちょっと時間伸ばそうって下心もあったけど。


まだ一緒におりたいなって俺の気持ちは
彼女に伝わるはずもなく。


こんな綺麗にしてたら仕事場の男たちも
ほっとかんやろうって思う。


見た目のことばっかり言ってしまうけど
ほんまにこんな綺麗やのに
彼氏がおらんなんてほんまなんかな、とか


今はたまたまおらんだけで
もしかしたら狙ってる奴なんて
いくらでもいるんちゃうかな、とか


考えれば考えるほど自分に自身は無くなっていく。
どうせ俺なんてって思ってしまう。
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