幸福論
時々目を抑える彼女に
斗が笑いながらハンカチを差し出す。
それを素直に受け取る彼女。


最後に2人は同時にステージに上がった。
思い出すのは斗の言葉。



”好きな子と一緒にスピーチするねん”



同時に頭を下げる2人。
これってそういうこと?



斗のスピーチ中に時々笑いながら
目を合わせる2人。


それは彼女のスピーチ中にも起きることで。


一旦全ての感情を無にしてみる。


そうしてみたら
ゾッとするほど強く突きつけられる現実。


遠くから見てたらまるでカップル。
綺麗に着飾って髪も上げて
身長差もお似合いな二人。



俺は今、何を見せられてるん?



イチャイチャする2人を見に来たんか?



ってか、そもそも斗の好きな子はどれ?




あぁ、そうか。
隣におる子や。



無にした感情を取り戻しても変わらん現実。
受け入れるには早過ぎる。
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