幸福論
聞き慣れた声に
聞き慣れた笑い声。


紛れもなく紺野さんのもので。
夢の中での紺さんは
声はするのに姿が見えない。


どんなに見つけようとしても
広がるのは暗い世界。
それに比べてどんどん大きくなる声。


それが夢じゃないと気付くのには
大して時間はかからなかった。


うっすらと開けた目にはさっきのドラマ。
龍くんと映るその姿に一気に飛び起きた。


夢じゃない、現実だ。
テレビの中に紺さんがいた。


ドラマの内容なんてどうでもいい。


テレビの中にいる彼は
紛れもなく釣り人の紺さん。
いや、アイドルの紺野さんか。


急いでパソコンを取りに行く。
調べるのは小森さんの名前、そして
彼の所属するグループ。


こんなに近くにヒントはあったんだ。
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