幸福論
彼女の名前は新藤まこさん。
デザイナーさんとの話の流れからすると、
かの有名なヒルズで働いているらしい。


容姿も良ければ職業まで素敵や。
天は二物を与えへんって言うのに。


ただ、彼女の表情は明るいはずやのに
目が合ってるようで合ってへん。


なんとなくそんな感じがして、
気にしているうちに彼女との短い時間は終わった。




デザイナーさんも関係者席に行くと離れた時に
龍が戻って来た。


腑に落ちない思いでいる俺とは対照的に、
腹減ったわーなんてヘラヘラしてる龍に
なんとなくパンチしてみる。






「いたっ」

「遅刻しといてなんやねん。」

「ごめんやん。なんでそんなに怒ってるん。」







なんとなくキョロキョロしてみる。
そこにはなぜか抱き合っている彼女の姿があって。






「......なんでやねん。」

「何がよ。」

「龍は関係ない。」

「なぁー、まだ怒ってんの?」





彼女の顔には満点の笑顔があった。
あんな表情するんや。


柄にもなくそんな事を思ってしまった。






「パーティーには間に合ったんやからさ!」





俺が遅刻したことに対して怒ってると思ったのか、
龍は1人で言い訳してた。



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