幸福論
待ち受けは暗い画面に戻り
あっという間に日も暮れて


薄暗い世界に戻った時、
弟の声で我に返った。





「どうしたん!?」

「........や、何にも無いよ。
静哉遅いなって思ってただけだよ。」

「ごめんごめん!
あまりにも楽しくて遅くなった!」





そう言って駆け寄ってきた静哉と
また車に乗り込んだ。







「..........でな!その人もうめっちゃおもろくて!」

「...............」

「なぁ聞いてる!?」

「あ、ごめん、聞いてるよ。」






隣で騒ぐ弟の話を聞いていないのも
話に集中できないのも
全部全部あの光景のせい。


気付いてしまった気持ちは
あの時みたいに全然ワクワクしなくて


ただただ暗闇で彷徨うよう。


彼もまだ、釣りに行ってるのかな。
< 205 / 448 >

この作品をシェア

pagetop