幸福論
「夕焼け...?ってどゆこと.........」

「ごめん。俺からはそれしか言えへん......」




そのまま斗くんは黙り込んでしまった。


夕焼けと言われても
正直何も思い当たらない。


夕焼けが何?


それでも彼は最後まで
教えてくれることもなかった。








「.......志乃?なに、ぼーっとして。」

「え、あ、ううん、
ちょっと色々思い出してた。」





あの時のことを思い出して


もっと早く気付いてたらとか
私が話を聞いてあげてたらとか


今となっては後悔しても仕切れない。


2年経った今でもまこは..........



テーブルの上に置かれる彼女の携帯に目を向けた。




でもね、大丈夫。


彼は、


あなたの好きな彼は



絶対に約束を破る人じゃないから。




また私はそっと彼女に目を向けた。



彼とした、約束を守るために。



もうちょっと待ってて。
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