幸福論
お互い探り探りやったんやろなぁ。


俺も志乃さんがどこまで知ってるんか分からんし
今から何を耳にするのか怖かった。




”私全部知ってます”



その言葉を聞いて
片付けてた手を止めた。


あまりに真剣な彼女の顔。
グラスを持つ手が
あまりにも震えてたから。


適当に聞く話じゃないことぐらい
すぐに察しがついた。





「ロクマル記念日...
試すようなことしてごめんなさい。」

「え、」

「ロクマル記念日って聞いて
どんな反応をされるのか
試したかったんです。」





ロクマル記念日。


それは俺があの子との間に
作った記念日。


確かにすごく大切な日。


それを聞いて俺がどんな顔して
どんな反応をするのか
知りたかったんやって。


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