幸福論
「なんでって....そんなん言う資格ないから.....」

「そうじゃない。」

「え?」

「なんで大事そうにずっと持ってるの?
その写真。」




ほんまに情けない。


俺の手元には紛れもない”本当”が残ってる。






「隠さなくていいんです。
言ったじゃないですか。
私全部知ってますって。」

「.............ッ」

「紺野さんも、
ずっとまこのこと好きだったんですよね?」




最後まで俺は逃げた。


こんなん言われてまで自分に嘘ついて


全部嘘。


好きや。



めっちゃ好き。



こんな情けない俺やけど


言うてもいいかな?





「....好きやで。今も昔もずっと変わらん。」





最初からこの答えが返ってくること
分かってたように


志乃さんは今日一番の笑顔で俺を見た。
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