幸福論
「見てるで?
イケメンな斗に綺麗なまこちゃん。」

「....ちゃんと。ちゃんとまこを見て。」





少しアップにして彼女を見る。


ちゃんと見てるっちゅーねん。


悲しいぐらいお似合いな二人。


可愛らしい笑顔を斗に向けるまこちゃん。


全部ちゃんと見てる。





「まこの手元、ちゃんと見てください。」

「ん、手元?」




携帯を持つ手が震えた。


志乃ちゃんがさっき言った
”今も”ってそういうこと....?


俺、アホやから単純やねん。


まっすぐ受け止めてしまうねん。


いいの?


単純に受け止めてもいい?


期待してもいい....?





斗を見る横顔。


そんな彼女を横から撮った写真。


よく見ると、
彼女が手に持つ携帯。


それはちょうど通知が届いた時で。


少しぼやける画面は
あの日の夕焼け空だった。

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