幸福論
ファンのみんなは
何も思わず彼の言葉を聞いていただろう。


紺ちゃん何冗談言ってるのって
笑っただろう。


だけど私はファンじゃないから。


こんなこと聞いたら
痛いと思われるのは分かってる。


なにアイドルなんかに必死になってるんだと
笑われるのも分かってる。


それでもいい。
彼にとって私は1人のただのファンでもいい。


ただ、私にとっても
あの日見た月は特別だったから。


だから............




携帯に開かれたままの画面。
今月の満月の夜。
そこに綴られるのは紛れもなく今日の日付け。


時計を見ると今日が終わるまであと1時間。



”いつもの場所で____________________”






その言葉だけを残して慌てて家を出た。
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