幸福論

〜崇裕〜

なぁ斗。
俺は弱っちい男やな。


お前が託してくれた小さい希望さえ
守れへんかった。


斗ならどうしてた?


湖なんかで待たんと堂々と
迎えに行ってた?



一時は喋れへんくなるぐらい
お前もおんなじ子のこと好きやったのに


いつしか協力するって
目キラキラさせてくれて


志乃さんと頑張ってくれたのに


そのちょっとの希望さえ
俺は自分のものに出来ひんかった。



ほんまは斗の方が
お似合いなんかもしれんなぁ。



俺はそれに気付かんフリしてたんや。


情けないわほんまに。
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