幸福論
母親は何度も私に謝り
自分を責め続けた。


お母さんのせいじゃない。
当たり前なのになぜかそれが言えなくて


私は家に引きこもってしまった。


それでも進行し続けるがんの存在。


これ以上放置し、
転移したらもう命に保証はない。


そう言い聞かせられるのに
私はずっと首を振り続けた。


まだ中学生なのに。
これから高校、大学、社会人。


たくさん勉強して恋もして
たくさんたくさん楽しいことが待ってるのに



がん、なんて言われて胸を摘出?


理解ができなかった。


それから摘出手術をするまではあっという間で。
嫌で嫌で首を振り続けていたのに
突然右胸に違和感を感じた。


左胸のしこりは大きくなり
死ぬか摘出するかの選択しかなかった。




< 427 / 448 >

この作品をシェア

pagetop