幸福論
何より自分が一番びっくりしていた。


仕事とはいえ、
男性と話す時はしきりに警戒していた私。


どうにか自分のテリトリーに入れまいと
いつも自分を守ってきた。


小森さんだってその一人。
仕事だって思い込むことで
相手を男性として認識する考えを捨てる。


これはずっと昔からしてきたこと。


それが、仕事で何度も会うモデルでもなく
最近知り合った小森さんでもないなんて。


会ったのも2回目。
名前も知らない人に壊されるなんて
思いもしなかったんだ。






「暗くなってきたなぁ。」






そう言う彼からは
いつの間にか敬語なんて抜けていて、
最初から無かったかもしれないけど。


着飾らない彼の笑顔は
なんだかとても心地が良かった。
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