魔王と勇者の望まれぬ結末
ラルトサイド 1
勇者への決心
彼女、ミーラを初めて見た時。
僕の身体にまるで初めて電流を流された様に意図せず身体が動いた。
戦争の終了の合図である鐘が小さな村まで響いた時、僕は暗い中でも綺麗な紅色の髪にそれをより美しく映えさせる程の真っ赤なワンピースを着た少女
ーーミーラを”発見”した。
容易に近づくのはどうか?と言う人達も居るだろうが、僕は彼女に引かれるように近づき彼女に言った。
”もう、戦争は終わった。だから全部僕に吐き出して”
と…
この日の僕は、”勇者になる”と聞かされて来ては居たが戦争が一体どんなものか…そして魔族とはどんなものなのかを全く知らなかった。
その為バレない様にとこっそりと騎士団の後をついて来て居た。
そして目撃してしまったーー
綺麗な黒髪をなびかせ騎士団の方に堂々と歩き出した魔族の女の人。彼女は、深い森から単身で挑んで来た。騎士団は、彼女を取り囲み彼女を”討伐”してしまった。
しかし、僕は陰から見て居た。
”彼女は、何一つ武器なんて持っていなかった”
”武器になりそうな物すら持っていなかった”
そして、倒される直前彼女は呟いた。声にならないくらいに小さな声で
”私の愛おし娘…ミーラ”と
そして僕は直感した。
戦うつもりなんて無かったんじゃないのか?
なら何をしに真正面から来たのか?
もしかしたらミーラという子を守るために…
そして全ての答えは森にある気がしたーー
そうして僕は彼女が歩いて来た道のりを逆に歩き彼女を見つけた。ーー正直初めは驚いた。
彼女は、母親を見送った方をずっと決して目を離さずに見ていたのだ。まるでこの光景を目に、心に刻み込むように…
彼女は、母親の骸を騎士団員が居なくなってから抱き寄せ回収して自分達が居た森の大きな木の下に自らの手で穴を掘り自らの手で埋めたのだ。
涙は一切見せなかったミーラ。
母親の姿が見え無くなるまで動きを止めなかったミーラ。
何故か僕は、そんな彼女から目が離せなかった。
いや…
”離してはいけない”と感じたのだ。
そして全ての作業を終えたミーラの綺麗だった真っ赤なワンピースは、泥と血で赤黒くなってしまって居た…そして天を仰ぐ様に顔を上げ静かに涙を流した。
そんな彼女が愛おしく寂しそうに感じ、僕は彼女の前に出ることにした。そして僕に敵意を感じていたミーラを宥め僕は、消えそうな彼女を抱きしめ消えない様に身体を確かめる様に、その暖かさを感じた。
彼女は、僕にとっては”敵”である。
でも僕は彼女をほっとけなかった。
抱き寄せた時ちらりと見えた腕にある赤い竜の鱗。彼女が人ではない事がよく分かった。
しかし…その時の僕はそんな事はどうでもよかった。
例え彼女が…ミーラが”魔族”だとしても。
僕にはそれ以上に初めて会ったミーラが消えそうな事の方が重要だったのだ…
そうして泣き疲れ眠ってしまったミーラを抱き上げ僕は僕の家に帰る事にした。
そして決心した。
ーー亡くなった彼女の為に
”僕は彼女を、ミーラを【護る】勇者になろう”と
身寄りのない彼女の家族になりたい。
彼女が笑う姿を見て見たい。
10歳の僕は、心からそう思った。
ーーきっとこの時から僕は彼女に恋心を抱いたのだ。僕は彼女の”綺麗な姿”に一目で恋に落ちたのだ。
そうこれが僕の初恋だった。
僕の身体にまるで初めて電流を流された様に意図せず身体が動いた。
戦争の終了の合図である鐘が小さな村まで響いた時、僕は暗い中でも綺麗な紅色の髪にそれをより美しく映えさせる程の真っ赤なワンピースを着た少女
ーーミーラを”発見”した。
容易に近づくのはどうか?と言う人達も居るだろうが、僕は彼女に引かれるように近づき彼女に言った。
”もう、戦争は終わった。だから全部僕に吐き出して”
と…
この日の僕は、”勇者になる”と聞かされて来ては居たが戦争が一体どんなものか…そして魔族とはどんなものなのかを全く知らなかった。
その為バレない様にとこっそりと騎士団の後をついて来て居た。
そして目撃してしまったーー
綺麗な黒髪をなびかせ騎士団の方に堂々と歩き出した魔族の女の人。彼女は、深い森から単身で挑んで来た。騎士団は、彼女を取り囲み彼女を”討伐”してしまった。
しかし、僕は陰から見て居た。
”彼女は、何一つ武器なんて持っていなかった”
”武器になりそうな物すら持っていなかった”
そして、倒される直前彼女は呟いた。声にならないくらいに小さな声で
”私の愛おし娘…ミーラ”と
そして僕は直感した。
戦うつもりなんて無かったんじゃないのか?
なら何をしに真正面から来たのか?
もしかしたらミーラという子を守るために…
そして全ての答えは森にある気がしたーー
そうして僕は彼女が歩いて来た道のりを逆に歩き彼女を見つけた。ーー正直初めは驚いた。
彼女は、母親を見送った方をずっと決して目を離さずに見ていたのだ。まるでこの光景を目に、心に刻み込むように…
彼女は、母親の骸を騎士団員が居なくなってから抱き寄せ回収して自分達が居た森の大きな木の下に自らの手で穴を掘り自らの手で埋めたのだ。
涙は一切見せなかったミーラ。
母親の姿が見え無くなるまで動きを止めなかったミーラ。
何故か僕は、そんな彼女から目が離せなかった。
いや…
”離してはいけない”と感じたのだ。
そして全ての作業を終えたミーラの綺麗だった真っ赤なワンピースは、泥と血で赤黒くなってしまって居た…そして天を仰ぐ様に顔を上げ静かに涙を流した。
そんな彼女が愛おしく寂しそうに感じ、僕は彼女の前に出ることにした。そして僕に敵意を感じていたミーラを宥め僕は、消えそうな彼女を抱きしめ消えない様に身体を確かめる様に、その暖かさを感じた。
彼女は、僕にとっては”敵”である。
でも僕は彼女をほっとけなかった。
抱き寄せた時ちらりと見えた腕にある赤い竜の鱗。彼女が人ではない事がよく分かった。
しかし…その時の僕はそんな事はどうでもよかった。
例え彼女が…ミーラが”魔族”だとしても。
僕にはそれ以上に初めて会ったミーラが消えそうな事の方が重要だったのだ…
そうして泣き疲れ眠ってしまったミーラを抱き上げ僕は僕の家に帰る事にした。
そして決心した。
ーー亡くなった彼女の為に
”僕は彼女を、ミーラを【護る】勇者になろう”と
身寄りのない彼女の家族になりたい。
彼女が笑う姿を見て見たい。
10歳の僕は、心からそう思った。
ーーきっとこの時から僕は彼女に恋心を抱いたのだ。僕は彼女の”綺麗な姿”に一目で恋に落ちたのだ。
そうこれが僕の初恋だった。