恋は小説よりも奇なり

「遊園地とか。こういうの好きそうな人みんなで行けたらいいねって前から大和さんと話してたんだ」

「今、一月だよ……?」

「だからいいんじゃない。行楽シーズンより人も少なくて楽しめそうだし。それにね、アタシ大和さんのこと好きみたい」

あれほど鮮やかだった満の仕事ぶりがわらわらと乱れ、どこまで確認作業を終えたかわからなくなってしまった。

「突然何を言い出すのかと思ったら――…」

聞いているこっちが恥ずかしくなってくる。

周りを気にする満とは裏腹に、すっきりした顔をしている樹。

「遊園地ってなんだかデートみたいじゃない。彼女もいないみたいだし、好きな子もいない。振り向かせるなら今がチャンスだと思わない?」

「ま、まぁね……」

「だからお願い!この通―り!」

手を合わせ上目づかいで樹は頼み込む

茶目っ気のある樹に満は昔から甘かった。

「分かった」

こんなに可愛いお願いの仕方をするから、満はつい首を縦に振ってしまった。
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