恋は小説よりも奇なり
「何だ、その荷物は?」
「武長 奏宛てのレターとプレゼントですよ。もうすぐ先生のお誕生日だからモリモリなんです」
「そんなものはいらないといつも言っている。そっちで勝手に処理してもらって構わない」
ファンからの贈り物に一切興味を示さないどころか拒絶さえ見せる奏。
その横で珠子が苛立ち混じりにダンボールの封をバリバリと解く。
「ふざけんじゃねーですよ。先生宛に届いたものを、一度も本人に見せずに処理できるかってんですよ。少しはこっちの立場も考えてください」
珠子はダンボールの中に入っているプレゼントやレターをいくつか取り出し、奏に押し付けるように手渡した。
彼の迷惑そうな表情などお構い無しだ。