恋は小説よりも奇なり

しかし、時既に遅し。

満は男に覆い被さるように落下した。

満自身も傍にいる女子高生たちも怖くなって固く目を閉じた。

目を閉じるヒマも無かったのは救済を試みた男だけ。

「―――…痛ぁ……くない?」

あって当然の痛みが感じられない。

この図書館の床って絨毯(じゅうたん)だっけ?などと考え、辺りに手を伸ばしてみるがそこはやはり冷たい床だった。

「……痛いのは俺の方であってお前じゃない。いつまで人の腹の上に乗っている。さっさとそこをどけ……」

見事に満の下敷きとなっている男が苦しそうな声をあげる。
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