大嫌いの裏側で恋をする
ドクン、と胸が鳴った。
怖い。
これ以上伝えると、直接的な言葉なんてなくても、知られてしまうかもしれない。
でも、黙ったままですれ違うことの方が怖いのだと私は知ってしまった。
「あ、ああ、あとですね! あの!!」
この際もう砕けてもいい。
そんな勢いで声を張り上げる。
「私は、シュークリームは嬉しいけど、よ、吉川さんにわざわざ聞くんなら私は。私は……その」
「なんだよ」
「……何もおみやげなんてなくても、直接連絡もらえた方が、う、嬉しいかもですし……」
「…………は?」
高瀬さんの驚いたような声に私は顔を上げることができない。
でも、負けるな。
素直に言葉にしなければ、どこまでも心は届かない。
大切な人にほど隠してしまいたくなる心の揺れ動きを。
本当はきっと。
大切な人にほど、見せていかなくてはいけない。
「それと!」
「ちょ、ちょっと待て」
(ま、待てない)
絶対『急にどうしたこいつ気持ち悪い』とか思われてるし言われそうだけど。
今、待ってしまうと。
きっと言えなくなってしまう。