大嫌いの裏側で恋をする
「頭まで下げる必要ないだろが、男なんてちょっとくらい待たせときゃいーんだよ」
「え、いやでも、その、えっと」
「なんだよ」
「え!? いや、えっと、あれ? なんか、高瀬さんぽくないというか……いつも何かしら怒るのに」
こいつらしい、直球な物言いに思わず吹き出す。 そんな俺を見てますます不思議そうに目をパチパチと瞬かせる表情が。
(可愛いんだよなぁ、いちいち)
「俺別に仕事しに来たわけじゃねーし、誘った女相手に頭下げさせたいわけでもないけど?」
「さ、さそ、誘った女……」
次は口をパクパクとさせて、赤い顔してこっちを見てくる。
餌をもらいに水面に上がってきてる金魚みたいだ。……とは、猛烈な抗議がありそうだから口にしないけど。
やっぱり、可愛いと思ってしまう。