大嫌いの裏側で恋をする
勘弁してくれよ、マジで。
車の、そんなに高くない天井を仰いだ。
「帰るなって、言ってくれたらいいのに」
ボソッと呟かられた言葉を、聴き逃せるほど、俺に余裕はない。
「言って欲しいもんなのか、女は」
「女を一括りにしないでください! 私は、です」
そう言って俺を見る顔は、街灯の薄明かりだけでも真っ赤だとわかる。
「う、うちに、来ますか? よかったら」
その真っ赤な顔で、言ってくるんだから。 そりゃ無理だろ、どんな強固な理性持ってる奴でも。 これは、即答だろ。
「あーー、車、どっか入れてくるわパーキング」
その時間さえも惜しい。とか、どこの盛んな男子高校生だよ、俺は。