大嫌いの裏側で恋をする
「に、にやけてなんて、な、ないと思うんですけど!」
「なんだそりゃ。 威勢いいわりに自信ねぇ言い方だな」
「だ、だってそりゃ……んっ!?」
言い返す私の唇に、重なった高瀬さんの唇。
それは一瞬で離れて、私の耳元に手をついて見下ろしてくる彼の顔が近くに見える。
「よくわかんねぇもんだな」
「は、はい?」
熱のこもった瞳で見下ろされて、よくわからないのはこっちなんだけど、と思いながら聞き返す。
「いや、今更こうなるなんてなぁーって感慨深くなってた」
「さっきから主語がありませんけど」
「好きな女とは、何回やっても足りねーんだなって実感してる」
その言葉を聞き終わると同時に、もう一度キス。
今度は、深く、長いキスがまた私の身体を熱くしていく。 その熱が伝わってしまったかのように、触れる高瀬さんの肌も熱くなり。
なにか、なんというか。 太もものあたりに押しつけられる感触を感じてしまったり……。
「ちょ、ちょっと、なんで」
「いや、わかんねーけどキスしたら、なんかヤバい」
「ね、寝起き……!」
「そうだな、朝でもヤル気になるもんなんだな」
シレッと人ごとのように言う高瀬さんの手が、鎖骨のあたりを撫でて。 徐々にその手を下へと這わせて、また頭の中を真っ白にされて。
刻み込まれるように熱を受け――私たちがベッドを出たのは陽も登りきったお昼を過ぎた頃だった。