大嫌いの裏側で恋をする



***


「は? おいコラ、お前なんだこりゃ」
「え? あはは、えへ」

シャワーを浴びて、湯上りさっぱりな高瀬さんが背後で批難の声をあげた。

「えへ、じゃねーよ。 お前いつも飯食ってんのか?」
「食ってますけど、絶望的に自炊はしません」

それは私が開け放ってた冷蔵庫の中身を見られてしまっての会話。

「いや、つーかいい、別に自炊云々はこの際置いとけ」
「はい」
「中身缶ビールしかねぇよな? ねぇだろ? ビビるわ」
「高瀬さんが来るってわかってたらそりゃ何かは買い足しましたよ、何かは!!」

そう、何を隠そう私は料理が嫌い。 避けて通っても別に困ってこなかったけど、まさか、こんな、色気のない冷蔵庫の中身を見られてしまうとは!

「な、なんかランチ食べに行きましょうか? あ! それかピザとか?」
「買いに行くぞ」
「え、何をです? ピザ? ああ、そっか持ち帰りの方が安……」
「食材な!」

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