大嫌いの裏側で恋をする


「あーー! そう、そうですよ、月曜日! 月曜日の午前中!! こんな話してる場合じゃなかったです!」

一気に現実が押し寄せてきて、私の休日モードは完全に消え去る。
土曜もやってる会社があるから、週始めの朝はどうしたって受注業務は忙しくなる。

「こんなって、お前な」
「あ、ほら高瀬さんも外出の予定なんですよね? 特に指示がないなら早く行ってください」
「……ああ、別に今日は何も」
「あと! とりあえず、色々まだ内密に!」
「…………はいはい」

たくさん話したいこともあったけど、脳内に花咲かせてる場合じゃなかった。 とりあえず注文書片付けて工場に連絡入れて、昼休みには一息つけるようにして!
アレコレ変な噂が広がってしまう前に、私はしなくちゃいけないことがある!

田代さんから受け取った注文書とパソコンの画面を交互に眺めながら入力を開始する。
隣からはノートパソコンをカタっとたたむ音が聞こえて。

「じゃあ、出るけど。 何かあったらメールか電話な」
「はい」
「あと一応夜あけとけ」
「はい、わかりました」

高瀬さんの気配が去ってくのを横目で確認しながら指を動かす。
仕事だってしっかり頑張らなきゃ。
だって、もし。 社内に色々バレてしまったとしても仕事さえきっちりこなしてれば、私は堂々としていていいはずなんだから。

今週も頑張れ、私!

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