大嫌いの裏側で恋をする
動き出した景色を眺める。
心臓がバクバクして、うるさい。
「どちらまで?」
って聞いてきた運転手さんに、なんて答えたんだろう。
自分の声なのに、頭に響いてこない。
ただ高瀬さんの声が、残ってる。
嫌だ、なんで。
なんで、今優しくするの。
なんで、私ドキドキしてるの。
なんで、なんで、なんで。
こんなのダメだ、絶対ダメだ。
さみしくて心許ないと、すぐに誰かに縋り付きたくなる?
嫌だ、そんな人間にはなりたくない。
きつく握りしめた手が、震えてるのを感じながら。
私はずっと
窓の外を眺めてた。