大嫌いの裏側で恋をする
嫌いなのは自分
***
コンクリートを照りつける日射しを恨めしく睨みつけたり前を見たり。無理して履いてる8センチのヒールのせいで爪先が痛むのも地味に苛立つ。
でも、今はそれでいい。
気が、紛れてちょうどいい。
正直、どんな顔をして会えばいいのかわからなくて、週末はほとんど寝付けなかった……だなんて、学生じゃあるまいし。バカみたいなんだけど、でも。 これまで嫌いだ苦手だと散々仕事以外の接触を避けてきた、どころか。
仕事以外の会話さえ避けてきた人物に泣きつき、励まされ奢られ、挙句には聞いたこともない優しい囁き声にドキッとしてしまったとか。
頭に、ほわん。 と週末の夜の出来事が回想され慌てて首を振る。
しかし振っても振っても振り切れない。
何よりも、救われてしまったのが事実だから尚悔しい。
たどり着いた結果に嘆いて、後悔して、自分を否定していた私に高瀬さんは言ったのだ。
『そうなりゃ、そもそもお前じゃない気もするけどな』
と。 言ったのだ。