大嫌いの裏側で恋をする


姿が見えなくなって、私は捻るようにして背後に向けてた身体を戻しシートに深く座る。

(この、甘酸っぱさを……)

素直に楽しめないのはアラサー突入の、この歳のせいなのかな?
始まりのドキドキよりも、通り越して早く当たり前になってほしいと願ってしまう。

あなたのいる毎日が、当たり前になってほしいと思ってしまうんだ。

おかしいな。

ほんの数年前までは、恋の駆け引きも。
揺れ動く心も。
どこか、恋愛だと割り切って楽しんでしまえていたのに。

きっと、続く未来が『恋愛』だけではないことに、身構えてる。
……それを、声にすればどうしようもなく情けなくて惨めで、そして焦ってる女に映ってしまいそうで。
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