大嫌いの裏側で恋をする
再び俯いた私に、次は聞き慣れた明るい声が届く。
「ま、そういうことだからねえ。両成敗ってことで君が気に病むことが全くない」
そして、額から離れてく手のひら。
「でも君自身に興味を持って、可愛らしく思ってたことも事実だから」
だから見せてね、と笑う。
「頑張るって決めたなら、見せてね。まわりがハラハラさせられる君たちの壁の破り方。おじさん、お手本にさせてもらおうかなぁ」
「おじさんじゃないですよ、秋田さん」
咄嗟に否定の言葉か出てきて。
取ってる行動を思えば、どの口が言うか。
そんなセリフを、私は続ける。
「秋田さんは、素敵です。遊べるほど女が寄ってくるのも少しわかっちゃいました……ちょっと軽いけど」そう言ってペコリと頭を下げて。
私は、秋田さんの車から、ゆっくりと降りる。