大嫌いの裏側で恋をする
「乗っかってくんなよ、惚れた女に上乗られたらとりあえず男はその気になると思うけどな、俺は」
「ほ、ほれ、惚れたとかね!言い過ぎなんですってば!」
「引かれたら嫌だし言わないようにしてただけだろが、褒められてぇくらいだ」
開き直ったイケメンの破壊力よ!
痛感して、でも、私だって。
触れたくて触れたくて、熱くなるばかりの身体に気がついてる。
「うち、片付けてないし高瀬さんの家がいいです」
ボソッと返したら、また抱きしめられた。
嬉しそうな、ホッとしたような息遣いも聞こえる。
素直じゃない言い方だけど、まあ、泊まってそういうことしようって。
頷いたも同然の言葉だから。
(嬉しがってくれなきゃ恥ずかしいじゃんね)
向き合って話すと、発した言葉には逃げ場がなくて。隠す心は頼りなく揺れて。
確かめ合わずには、いられなくなるみたい。
「はは、うちでいーのか?秋田さんいい部屋とってくれてるらしいけど?」
「うっ!! なんというか、その、す、すみませ」
「うそうそ、責めてねーよ、本気にすんなよ。秋田さんからメールきてた。お前が全然落ちてくれなかったよ、とかなんとか」
「いや、落ちなかったというか諭されたというか試されたというか」
モゴモゴと高瀬さんの腕の中に潜ってく私の、頭を撫でながら高瀬さんは言う。
「ありがとな、こっち来てくれて」
「お礼なんておかしいです」
「まあ、次同じことあったら、そーだな、覚えとけよ」
ニヤリと笑って、私の身体を起こし助手席に押されるようにして戻された。
高瀬さんがシートベルトを締める姿を眺めてから、私も真似するようにシートベルトを締めた。