大嫌いの裏側で恋をする
俺の乾いた笑いを、どう受け取ったのか。
しゅんとした様子で肩を落とす。言動は素直じゃないが、行動は隠し切れず素直なもんだから。
結局俺はいつも、こいつに弱い。
「……で? 早く言えよ、なんの連絡」
「いつ、予定空いてるかって聞かれてるだけで」
気を落ち着かせたくて、タバコでも吸うかとキッチンに向かおうと立ち上がったが。足が止まる。
「ああ? 何だそりゃ、予定?」
「に、荷物を返したいとか」
「いや、捨てさせろって」
「い、言ったんですけど! その……」
座ってる石川の方へ歩き、腹のあたりから手を回し、抱えてベッドへ落とす。
「ぎゃ! な、なん、なんですか痛い酷い!」
「酷いだぁ? 俺が言いたい」
言いながら動きを封じるように跨って、首元に軽く噛みついた。
「……んっ! ちょ、ちょっと高瀬さん」
「お前わかってんのか? 俺は前の男と会わせてやれる程できた男じゃねぇぞ」
「だ、だから会わないって、捨ててって何度も……、んんっ、や、やだ、高瀬さ」
さっきその気になって、叩かれたとこだし。石川から漏れ出る甘い声と、前の男に妬いてんのとで。
まあ、止まる訳がない。